濃厚接触者の待期期間が最短3日に!そのリスクと問題点

何度も変異を繰り返している新型コロナウイルスの中でも最強の感染力を持つといわれているのが、現在、急速に国内で広まっているオミクロン株の亜種・BA.5です。
BA.5は瞬く間にBA.2と置き換わり、2022年7月23日には1日あたりの感染者数が20万人を超えるなど4日連続で過去最多を更新、それに伴い濃厚接触者も急激に増えています。

そんな中、政府は新型コロナウイルス濃厚接触者の待期期間の短縮を打ち出しました。

そこで、ここでは、濃厚接触者の待期期間の解説と合わせて、そのリスク・問題点について解説していきます。



感染者の急増とともに増える濃厚接触者数

群衆とウイルスの3Dレンダリンググラフィックス / 社会活動とウイルスの市中感染・感染拡大のコンセプトイメージ

毎日多くの新規感染者数が報告されていますが、その数が増えれば必然的に増えるのが濃厚接触者です。

濃厚接触者とは、新型コロナウイルス陽性となった人と感染可能期間内に接触した人であり、かつ、
患者と同居・長時間の接触があった人
1メートル以内でマスクなしで15分以上の接触があった人
適切な感染防護対策をせずに患者を診察・看護・介護していた人
患者の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い人
のこと。

家族の中で一人陽性者がでれば全員が濃厚接触者となり自宅待機となります。
感染者数の急激な増加に伴い、濃厚接触者となって職場で休まざるを得なくなる人が増えたことで「仕事が回らない」「人手が足りない」などの問題が多く発生しています。

濃厚接触者の待機期間が7日→5日に短縮

ビジネスイメージ―握手の拒否

そんな状況を受けて、2022年7月22日に政府は濃厚接触者の待期期間を従来の7日間から5日間へと短縮することを通達しました。
(出典:B.1.1.529 系統(オミクロン株)が主流である間の当該株の特徴を踏まえた感染者の発生場所毎の濃厚接触者の特定及び行動制限並びに積極的疫学調査の実施について

オミクロン株の特徴として潜伏期間が約3日と短いため、社会機能維持者(エッセンシャルワーカー)であるか否かに関わらず、濃厚接触者は2日目と3日目の抗原定性検査キットを用いた検査で『陰性』を確認できた場合は3日目から自宅待機解除可能となります。

ちなみに、自宅待機期間を短縮する目安となる抗原定性検査キットは、『研究用抗原検査キット』ではなく、薬事承認された『承認済み抗原検査キット』を必ず用いなければなりません。

また、政府は、家庭内・医療機関・高齢者施設などを除き、濃厚接触者の特定、行動制限を行わないとしています。

BA.5は6日目以降に発症した人が約17%

上記の濃厚接触者の待期期間緩和は、円滑な社会生活を送るために必要・望ましいことのように思えます。
事実、国立感染症研究所のデータによると、オミクロン株はアルファ株と比べる潜伏期間が短く、潜伏期間の中央値は2.9日(95%信頼区間:2.5-3.2)となっており、待機期間5日(最短3日)への短縮は理にかなっているように思えます。

しかし、同所のデータ(HER-SYSデータを用いた曝露から経過日数ごとの発症する確率)によれば、オミクロン株は曝露日(陽性者との接触)から5日目までに約83%が発症していますが、6日目以降にも発症した人が約17%もいます。

1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目
オミクロン株 8.55 30.41 53.05 70.69 82.65 90.12 94.53 97.04

(出典: 国立感染症研究所 SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)の潜伏期間の推定:暫定報告

つまり、2日目・3日目の検査の際、実施した抗原検査で何らかの理由で陽性の結果が出なかった場合(偽陰性)、陽性者(潜伏期間)であっても3日目から待機が解除されてしまうことに。
同データの発症率は3日目ではまだ半数(約53%)・5日目でも約83%という数字からも今回の待期期間短縮のリスクの高さはお判りいただけることでしょう。

実際、本来なら自宅待機が必要な陽性者が待機しなくなることで感染がさらに広がってしまうおそれが高いと多くの専門医が懸念しています。

そのため、2日目・3日目の抗原定性検査で『陰性』と出て待機を解除するとしても、濃厚接触者となった人は「これから自分が発症するおそれは十分ある」と自覚して行動をする必要があります。
身近に感染症弱者がいる方は特に、陽性者との最終接触から最低でも7日間はこまめに健康チェックを行い、リスクの高い行動を避けるようにしましょう。

第七波を引き起こしているオミクロンBA.5の特徴

Covid 19 virus,SARS-CoV-2 Coronavirus variant omicron ba.4 ba.5. Microscopic view of infectious virus cells in lungs .3D rendering

ここでは世界的な感染拡大を引き起こしているBA.5の特徴を解説します。

BA.5は南アフリカで2022年2月に発見され、同年5月以降にはヨーロッパを中心に拡大、翌月の6月以降になると世界で検出される新型コロナウイルス全体の約5割を占めた変異株です。
日本でも、4月に主流だったBA.2株から徐々にBA.5へと置き換わり、6月後半から一気に感染拡大し、8月はじめにはほぼ置き換わるとみられています。

気になるBA.5の感染力ですがBA.2株よりも35.1%強い反面、既存のオミクロン株との比較で重症度の上昇はみられないとの報告が上がっています。

つまり、毒性はそれほど高くはないという点では他のオミクロン株変異種と変わりません。
しかし、BA.5は厄介なことに免疫を逃れる性質がある上に、前回のワクチン接種で作られた抗体量の低下、また夏場のエアコン使用による換気不足や、暑さによるマスクの不使用などの状況も加わり、さらに感染者数が増えることが懸念されます。
特にワクチン接種者は「ワクチンを打っているから大丈夫」と過信しないようにしてください。

重症化しづらいとみられているBA.5ですが、発症後の症状として

  • 38度の発熱
  • 強い倦怠感
  • 頭痛
  • のどの痛み
  • 鼻水

などが挙げられます。

また、味覚・嗅覚異常はBA.1株・BA.2株より多い、無症状者が少ないという傾向があります。

しかし、まだわからない点も多い変異株であるため「オミクロン株だから風邪と一緒」と軽視せず、これまでと同様の感染症対策を徹底して行っていきましょう。

 

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