ようやく第七波が収まり、コロナ禍の中でも比較的穏やかな日々が続いていましたがじわじわと再び感染者数が増えています。
10月31日~11月6日の日本の週間感染者数が前週比42%増の40万1693人で世界最多となったとの世界保健機構(WHO)の発表もあり、専門家は「既に到来が予測される第8波の“準備段階”にある」と分析していることから第八波への警戒感がますます高まっています。
この冬訪れるであろうと考えられている第八波で注目されているのが、ギリシャ神話に登場する『ケルベロス』と『グリフォン』の名を持つ2つのオミクロン株の変異ウイルスです。
そこでここでは、『ケルベロス』と『グリフォン』それぞれの変異株の特徴と新たな変異種『バジリスク』について解説していきます。
強力な感染力が懸念される変異ウイルス『ケルベロス(BQ.1.1)』とは
”ケルベロス株(BQ.1.1)”
オミクロン株BQ.1.1の通称であり、既にアメリカ・イギリスなど世界中(48か国)で報告されている変異ウイルス。
ギリシャ神話の蛇と犬が合わさった冥界の番犬ケルベロスのように強力な感染力を持っていることがわかっています。
アメリカの9月の”ケルベロス株(BQ.1.1)”感染者数の割合は0.1%足らずでしたが、10月には7.2%まで上昇。
日本国内でも、10月17日時点で”ケルベロス株(BQ.1.1)”の感染者はわずか6件だったのが、11月4日時点で東京都内だけで68件に増えており、他県でも次々に””ケルベロス株(BQ.1.1)”感染者が報告されています。
現在、”ケルベロス株(BQ.1.1)”については、国立感染症研究所もワクチン接種や感染による免疫から逃れる力が高いことを示唆していまが、それ以外に毒性について詳しいことはまだわかっていません。
ただ、”ケルベロス株(BQ.1.1)”のベースはオミクロン株なので、高齢者や基礎疾患のない人であれば重症化リスクは低いと考えられていますが、引き続き注意が必要です。
[clink url=”https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/187568″]
同じく高い感染力、変異ウイルス”グリフォン(XBB)”
”グリフォン(XBB)”
もう1つの変異ウイルス。”ケルベロス株(BQ.1.1)”と同様にオミクロン株が変異したもので、高い感染力を持つ
現在、インドなど21カ国で確認されていますが、特に感染が拡大しているシンガポールでは9月時点で6%であったのに、1か月で全体の54%とあっという間に置き換わって感染の主流となっています。
日本国内でも10月半ばの時点で入国時の検疫で”グリフォン(XBB)”が7件確認にとどまっていましたが、11月に入った途端に東京都内でも”グリフォン(XBB)”が17件確認されています(11月4日時点)。
シンガポールと東京都の状況を見れば、日本各地で今後さらに”グリフォン(XBB)”感染者も急速に増えていくとみられています。
”グリフォン(XBB)”もワクチン接種や感染免疫による中和抗体からの逃避能が高いことが示唆されています。ワクチンを接種しているからといって決して安心はできません。
さらに新たな変異ウイルス”バジリスク(BA.2.3.20)”も登場
”バジリスク(BA.2.3.20)”
感染力が強いという特徴はあるが、現状、毒性が特別強くなっているとは考えられていない
もともとオミクロン株は変異を繰り返すスピードが速い上に、免疫ができにくく再感染の間隔が短いという特徴を持つ変異株です。しかも、冬季は気温が低下して空気も乾燥していますし、暖房器具を使っていると換気も不十分になるため、呼吸器系のウイルスがまん延しやすい環境となります。
また、政府の方針変更により水際対策が大きく緩和されたことや円安によって海外からの観光客の出入りも激しくなり、さらに”ケルベロス株(BQ.1.1)”・”グリフォン(XBB)”がもちこまれやすい状況です。
それと同時に、国内でも全国旅行支援がスタートして人の移動も活発化、社会経済活動も活発になっておりこの冬の第八波の襲来は避けようがない状態です。
2022年11月1日に和歌山県で新たな変異ウイルス『バジリスク』が確認され、同月7日には長野で、次いで8日には山口でも感染者が確認されています。
しかし、高齢者や基礎疾患を有している人など感染症弱者にとっては”ケルベロス株(BQ.1.1)”・”グリフォン(XBB)”もよくわからないうちに新たな変異種が登場したことは大きな不安・心配であるのは間違いありません。
そのため、感染力の高い”ケルベロス株(BQ.1.1)”・”グリフォン(XBB)”そして”バジリスク(BA.2.3.20)”の感染拡大、さらにインフルエンザの同時流行や新たな変異種の登場も懸念される2022年の冬は、これまで以上に手指消毒やうがいなど基本的な感染症対策を改めて徹底するようにしましょう。
また、こまめな室内の換気や加湿器の使用などの乾燥対策、オミクロン株対応のワクチン接種など一人ひとりが十分な感染症対策を常にしておくことが重要です。