マスク着用生活は変わらないものの、様々な規制が緩和され少しずつ以前に近い日常を取り戻しつつある日本。制限がなくなることは喜ばしい反面、気がかりなのが新型コロナの第八波と季節性インフルエンザの同時流行です。
早々に専門家がツインデミック(新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行)に警鐘を鳴らしていましたが、じわじわと季節性インフルエンザ患者も増える中、冬本番を前に政府もようやく新たな取り組みを発表しました。
それが、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザを同時に検査できる検査キット『同時検査キット』の市販化です。
ツインデミック対策として有効?『同時検査キット』市販化を検討中
新型コロナウイルスの登場以来、季節性インフルエンザの病名を聞く機会は激減しました。
しかし、水際対策の緩和やインフルエンザに対する免疫の低下により、この冬に日本でも南半球のオーストラリアで夏に起こったツインデミックが起こる可能性が示唆されています。
特にこの問題を複雑化させているのが、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの症状が似ている点です。
発熱や悪寒、倦怠感など初期の症状が似ているため、症状が出た際に新型コロナウイルスに感染したのか季節性インフルエンザに罹ったのかわからず、患者が病院に集中することで更なる混乱・パニック、最悪の場合は医療崩壊が危惧されます。
それを回避するための方策が、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザを同時に検査できる『同時検査キット』のOTC化です。
OTC医薬品:薬局・薬店・ドラッグストアなどで処方せん無しに購入できる医薬品
現在、新型コロナウイルスへの感染の有無を調べるための抗原検査キットは薬局で購入できるようになっていますが、季節性インフルエンザの検査は医療機関を受診しなければなりません。
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しかし、今後、現在医療機関のみでの取り扱いとなっている『同時検査キット』が市販されれば、発熱などの際に患者が自宅で新型コロナウイルスと季節性インフルエンザを一度の検査でダブルチェックできるようになり、どの医療機関を受診するかどうかを決める上で参考にすることができます。
また、検査結果を受けて医療機関でも患者の対応方法や治療方法もスピーディに決定されることになり、現場での混乱・混雑を回避しやすくなるなど有益性が高いと考えられます。
『同時検査キット』は12月上旬にも流通・販売見込み
2022年11月22日の会議で、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザを同時に検査できる『同時検査キット』の薬局やインターネットでの一般向け販売(OTC化)について検討され、今後、厚労省に承認されたのちに12月上旬にも流通が可能となり薬局やインターネットで市販される見込みとなっています。
ただし、『同時検査キット』が市販化され、気軽に購入できるようになったとしても一つ懸念事項が…。
それは、どちらに感染したのかが分かった後のとるべき行動の指針・ガイドラインがまだ作成されていないことです。
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承認されたばかりの新型コロナウイルスの治療薬ゾコーバは発症後3日以内に服用が必要であり、季節性インフルエンザのタミフルやリレンザも使用するタイミングが決まっています。
検査結果をスムーズに治療につなげられるよう、『同時検査キット』のOTC化と合わせて早いガイドラインの作成も望まれています。
『同時検査キット』の注意点
『同時検査キット』が店頭で購入できるようになれば、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザを同時流行が起こっても医療現場の負担や混乱が多少は回避されることでしょう。
しかし、個人での同時検査キットの使用には注意が必要です。
まず、季節性インフルエンザは発熱から12時間経過しないと検査をしても正しい判定ができません。
また新型コロナウイルスの検査も正しく検体を採取し正しく検査しないと「偽陰性」「偽陽性」となる可能性があります。
このように、同時検査キットは『正しいタイミング』『正しい検査方法』を行うことが大前提です。
しかし、一人暮らしの方や高齢の方が発熱や悪寒など調子が悪い時に正しく『同時検査キット』を使えるかどうかはわかりません。
そのため、市販化された『同時検査キット』を購入したら、いざ使うときに戸惑うことのないように前もって使い方や注意点を調べておくことをおすすめします。